プロの将棋を観戦していると、ときどき「えーーっ!そんなことして大丈夫なんスか!?」と言いたくなるような指し手を目にすることがあります。しかし、それはもちろん、なんらかの狙いを秘めているわけであり、そういう手は、いわゆる好手とか妙手といわれますが、それすらを上回るような恐ろしく鋭い手については鬼手(きしゅ)と呼ばれたりします。
以下は、先日行われた、
大和証券杯ネット将棋での羽生二冠(先手)と谷川九段(後手)の棋譜の120手まで進んだ局面であり、次は羽生二冠の指し手です。(矢印をクリックすると、手を進めたり戻したりできます。)
この局面で、本譜(実戦の棋譜)では、先手の羽生二冠は▲5五桂の王手を放ち、以下指し手が進む通り、後手優勢の形勢が動くことなく、最後は羽生二冠の投了となりましたが、局後の感想戦で、羽生二冠が「この局面、▲6五桂ではどうでしたか?」といわれました。
それにはさすがの谷川九段も「その手は発見できなかった。」といわれ、解説の渡辺竜王もおどろいていました。
▲6五桂という手は、ほうっておいたら次に▲7二銀からの詰めろを狙い、同時に相手からの△6五桂の寄せを阻止する鋭い手であります。後手はやむをえず△同飛もしくは△同歩と応じるしかありません。そうなると次に先手は▲2七角と、相手の角をタダで払い、形勢逆転できたかもしれないワケです。まさしく鬼手といえる指し手だったと思います。
お互い時間を使い切り、30秒将棋となっていた局面だったこともあるためか、残念ながらこの鬼手を本譜で拝むことはできませんでしたが、さすがは羽生二冠と思わせられた感想戦でありました。
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